kome-kami

kome-kami開発の思いとストーリー

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kome-kamiをなぜ作ったのか

こんなことを考えたのには、いくつかの背景があります。

ひとつは、株式会社ペーパルのSDGsへの取り組み、もうひとつは、アドバイザーとしてプロジェクトに参画していただいている滋賀大学の山下悠先生の経験です。

株式会社ペーパルでは、「紙」という循環可能な素材を社会に提供し、FSC認証とCoC認証を取得し、脱プラスチックを視野に入れた素材の啓発活動を行うことで、SDGsへの取り組みを推進しています。

山下先生は、2019年11月からフードバンクびわ湖の顧問を務めていらっしゃいまして、フードロス削減アイデアソンを開かれるなど、ビジネスという形でフードロス削減に貢献したいと思っていらっしゃいました。フードバンクは、販売できなくなった食品や規格外の農産物、余った食品などの寄付を受け、食べ物に困っている方に無償で提供する団体です。

活動の継続が難しいフードバンクも…

しかし、フードバンクびわ湖に限らず、フードバンク事業を行う多くの団体は運営資金の確保に苦慮されています。生活に困っている人に食品を提供するという社会的に重要な役割を担っているにも関わらず、自治体からの助成金や寄付金に依存しています。

食品を保管する冷蔵庫や配送費などの経費を支払うと、運営スタッフの給与を支払えない事態も発生しており、継続的に活動することが難しい状況です。

コストを価値に変えるビジネスを通じた応援に共感

ロスチェンジプロジェクトは、今回の取り組みのフードロスをなくす目標や、ビジネスとして生み出した価値をフードバンクに還元することが、持続可能なモデルとして大きく共感しました。

さらに、災害用備蓄食品を回収することで社会的なコストを価値に変えるという社会貢献という観点でも大きな意義があり、ぜひともSDGs活動として推進したいと考えました。

江戸時代まであった紙と米の文化

昔は米をノリにしていたという話は有名ですが、実は江戸時代までは食べられないお米は紙の原料にもなっていたそうです。そこで、kome-kamiではこのもったいない精神を受け継ぎつつも現代でも広く作っていただける紙を作ることを目指しています。

kome-kami の目標

このような廃棄されるお米や加工/流通段階で発生する食用でないお米を紙にアップサイクルすることで、コストを価値に変換します。

この取り組みを通じて、

江戸時代のもったいない文化を広めて行動変容を促し、

売上の1%をフードバンクに寄付することで応援し、

フードロス削減を応援します。

何度も諦めかけた kome-kami の開発秘話

kome-kamiを作るにあたって、賞味期限切れの備蓄米や、破砕米、くず米、酒蔵などで出るお米の削りカスなどを回収させていただきました。

「これを紙しよう」

そう意気込んで全国様々な工場に掛け合って相談をしてまわりましたが、どの方と話しても

「こんなの機械に通るわけないよ」「こんなもんじゃ紙はできへんよ」

など否定的なご意見をいただき、難しさを痛感しました。

工場の声を聞いていると、粒が大きいため機械が通らない事が大きな問題の一つというがわかってきました。そこで、粒を小さくすればなんとかなるのではと思い、工業用の粉砕を行っている工場に相談したところ、粉砕を引き受けていただきました。

この粉を持って、全国様々な工場に相談をして回りましたが、これでも粒が大きく機械を痛めてしまうし、表面からポロポロと粒が落ちてしまう可能性もあるため、製造は難しという結果になってしまいました。

次は、粒がだめなら炊いたらどうだろうかと考え、検討しました。しかし、粘着性が出て機械にくっつき、生産が難しいということが判明。このように沢山のアイデアを試しては消え、試しては消えるという状態が続き、気付けば数ヶ月が経っていました。

それでも諦めず、粉砕のやり方によっては出来るかもしれない。この可能性を信じ、様々な粉砕工場に頼んで回っていました。すると、ある町工場ではかなり細かく粉砕できることがわかりました。

この粉をすぐさま、工場に持ち込んで検証。実験室でのテストでは問題なく生産できる可能性があることがわかりました。これでようやく本番の生産までこぎ着けるところまで来ました。しかし、実際の生産では問題も出る可能性があるため、まだ気を緩めることができません。

工場での生産の当日、実際にお米を使って実際の製造ラインでの生産が始まりました。大きな音を立ててマシンが動き出し、お米とパルプが混ざった素材が高速で流れます。

「どうか止まらないで動き続けてくれ」

祈るような気持ちで生産を案じていました。

すると、この気持が届いたのか、これまでの困難が嘘のように、生産では大きな問題は起こりませんでした。

そして、実際に出来上がった紙を手に取りました。

「いい紙じゃないか」

紙の表面に独特な風合いが浮かんだいい紙ができていたのです。これまでの困難を1つ1つ解決してきた道のりが思い出され、抑えようもない達成感でいっぱいでした。

ノート開発にも幾多もの試練が

ノートの製造は昭和5年に大阪で創業し、約60年にわたりノートの生産を続けて来られた大栗紙工株式会社さんに相談しました。

しかし、素材の独特な表面のせいで生産が困難な可能性が高いというのです。そこで立ち上がったのが、取締役の大栗佑介さんでした。

「このような素晴らしい素材を使ったノートを僕も作りたいと思っているんです」

このような強い気持ちを持ってノート開発にチャレンジしてくださいました。

そこで、機械に通るように複数の厚さのkome-kamiを用意し、事前に紙を曲げるなどして「クセ」をつけて様々なパターンで実際に機械を動かすことになりました。

テスト生産当日、大きな音を立てて機械が動きだし、流れるようにノートが動きだしました。

「これはうまく行った・・・」

そう思った瞬間、機械が大きなアラームを出して停止。現場の方が全員集まってマシンの点検をはじめました。

紙にコシがありすぎて、また独特な表面のせいで、正しいルートを通らずラインを過ぎてしまっていたのです。

ここから長年の現場で培った職人の手先の感覚による、紙やマシンの微調整が始まりました。微調整して機械を動かすが、停止。この作業を数十回繰り返しました。

「やはり難しいのか」

そんな不安がよぎったその時でした。大げさに紙を曲げたあと戻し、半分だけのクセを再度付ける。このパターンで試したとき、アラームがならず、正しくラインを通ってノートの生産が開始できたのです。

この瞬間、kome-kamiでのノートの生産が無事に出来ることが分かった瞬間でした。この機械を通ったら4つのノートが連なった長いノートが完成します。

最後に、この長いノートを流れるよう4つに分割する機械に通したらノートの完成です。流れるラインの上からカッターが当てられ、通るだけで分割されるのです。

このように大栗紙工さんのご尽力によって幾多のも困難を乗り越えてやっとkome-kamiノートを完成させることができました。

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