昨今、環境に配慮した製品やデザインが求められています。それは、パッケージや紙製品も例外ではありません。そこで、サステナブルな紙素材を探している方向けに紙を一覧にしてまとめました!
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よく耳にするSDGsとは
SDGsとは、「Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)」の略称のことです。
2015年9月国連本部において、日本を含む193の加盟国の合意のもとに採択され、2016年から2030年までの持続可能な世界を目指す長期目標です。17の目標と169のターゲットが掲げられています。
17の目標には「つくる責任 つかう責任」という地球環境や人々の健康を守れる持続可能な消費を求めるものもあります。その中には、食品ロスの削減や環境に有害なごみの排出を減らすことが掲げられています。これは、紙を選ぶうえで重要な観点の1つとも言えます。
そして、SDGsは誰一人取り残さない(No one will be left behind)世界の実現を理念としており、国はもちろんのこと、企業を含め生産者や消費者による貢献が期待されています。
脱炭素とは
脱炭素とは、地球温暖化の原因と言われている温室効果ガスのCO2排出量を実質ゼロにする取り組みのことです。また、CO2排出量が実質ゼロになった社会のことを「脱炭素社会」といいます。地球温暖化の加速する中で、世界全体で脱炭素に向けた取り組みが推進されています。
その「実質ゼロにする」という概念として、カーボンニュートラルがあります。カーボンニュートラルとは、2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることです。
「排出を全体としてゼロ」というのは、温室効果ガスの「排出量」 から、森林管理などによる「吸収量」を差し引いた合計を実質ゼロにすることを意味しています。
実は紙は環境に良い⁉
紙というと、「製造することが森林の減少につながる」や「焼却時にCO2排出につながる」など環境に悪いものと認識されている方も多いかと思います。しかし、実態としては、環境への影響が小さく、認識と異なる事実も多くあります。森林の減少に関しては、紙の製造による減少は小さく、多くが火災や燃料用への過剰伐採が原因です。また、CO2排出に関しては、カーボンニュートラルの考え方では、焼却時のCO2は木材の成長過程で吸収・固定されたものとみなします。そのため、排出量全体としては実質CO2排出量をゼロと考えます。
さらに、近年、削減や代替傾向にあるプラスチックと比べると、自然に分解されやすく、再利用もしやすい素材となっています。
これらのことから、多くの方が認識されているより、紙は環境に良いと言えるかもしれません。その中でも、さらに環境に良いサステナブルな紙を選ぶことが、持続可能な社会の実現に貢献できるのではないでしょうか。
サステナブルな紙一覧
ボタニカルペーパー
近年、世界的にさまざまな製品で「安心・安全」や「脱炭素」が求められる社会的な流れが加速しています。例えば、飲料、食品、化粧品など様々な商品で、化学薬品をなくし、植物由来の成分を使ったボタニカルで、オーガニックな商品が増えています。
ボタニカルとは「植物」「植物から作られた」という意味。
普段何気なく使用している紙でも、化学成分を植物由来の成分に変えたボタニカルペーパーというジャンルが出てきています。
ボタニカルペーパーとは、化学成分を出来る限り使わない植物由来の紙です。従来の紙製造では、パルプの結合や表面のコーティングに化学薬品が使用されています。それらの化学薬品によって、紙の品質を安定させ、紙製造に大きく貢献してきました。しかし、サステナブルが求められる現代において、それら化学薬品も植物由来に代替した紙も開発されています。そのような、化学薬品の少ないサステナブルな紙をボタニカルペーパーと呼びます。
kome-kami
発売年:2021年(コメバインドは2023年11月開発) メーカー:株式会社ペーパル
捨てられるお米を活用した紙。ナチュラルな風合いが特徴です。製造時にお米をパルプに混ぜ合わた混抄紙であり、食品ロス削減に貢献します。また、パルプの結合にはお米の糊を使用しています。この糊は、コメバインドと呼ばれ、化学薬品をお米に置き換えた糊になります。コメバインドを使用することで、従来のkome-kamiや他の混抄紙と比べ、植物由来に近いボタニカルペーパーとなりました。名刺やパンフレット、パッケージといった幅広い紙製品に活用されており、印刷や加工面でも問題なくご使用いただけます。
事例はコチラから
キュリアス マター
発 売 年 :2017年発売 メーカー:アルジョウィギンス
ジャガイモを洗浄する際に溶け出したデンプンが顔料とともにコーティングされており、ざらざらとした硬質な手触りがユニークなファインペーパーです。
フライドポテトやポテトチップスといった食品の加工工程で排出されるじゃがいものデンプン成分を利用しています。色名は世界のじゃがいもの品種名に由来しているところもユニークです。印刷面においては、インクジェットもレーザープリンタも不可となっております。
混抄紙
紙製造時にパルプに他の材料を加えることで、大量廃棄の問題などに貢献するサステナブルな紙です。
vegi-kami
捨てられる野菜を活用した紙。第一弾として、ニンジンの皮を使って紙を作りました。大量廃棄の問題解決と食品ロス削減に貢献します。ニンジンの粒を表面に感じられる用紙です。印刷や加工も問題ありません。
momi-kami
捨てられるお米のもみがらを活用した紙。使いやすさを求めた白色の厚紙です。製造時にもみがらを活用することで、もみがらの大量廃棄問題の解決に貢献します。印刷や加工も問題ありません。
茶紙
お茶殻を活用した紙。緑茶を淹れるときに必ず出てしまうお茶殻を漉き込んでいます。緑茶の香りがほんのり残る和を感じる用紙です。印刷や加工も問題ありません。
SUMIDECO
食品加工の工程において排出される造副産物を炭化させたものを抄き込んだ紙。炭が持つ優れた機能として、脱臭・消臭効果、防カビ・抗菌効果、除湿・調湿効果、VOC・ホルモアルデヒド吸着効果(※エチレンガス吸着効果による)などがあります。
竹はだGA
竹を使用した非木材パルプ30%配合の高級印刷用紙。嵩高であたたかみのある風合いは、竹パルプ繊維の特性によるもの。ケナフ100GAを継承するファインペーパーとして、規格はもちろん、風合いや印刷表現も問題ありません。
グムンドバイオサイクル-FS
自然素材や古紙を活かしたファインペーパー。牧草を配合したクロロフィル、麻を配合したカナビス、古紙を原料としたサイクルの3種類が展開。原料由来の自然な色合いや指先から伝わる素朴な質感は、活版印刷やシルクスクリーン印刷、エンボス、箔押しなどの印刷加工に適しています。
MEGRISH(綿)
廃棄されていた様々な繊維・端切れ・回収衣料等を紙原料として配合した循環資源混抄紙。繊維を紙の原料として“アップサイクル”することで新たな価値を生み出す試み。また、配合する繊維がその都度異なるため、生産ロット毎に色調や風合いが異なるという無作為性も新たな魅力となっています。
バナナペーパー
バナナの茎の繊維に、古紙やパルプを混ぜ合わせた混抄紙。福井県の越前和紙の手漉き技術を応用して製造されています。世界的にバナナの茎は大量に廃棄され続けています。捨てられるだけのバナナの茎を再資源化し、リサイクルできるとして注目をされはじめています。
シードペーパー
古紙を再利用し、花の種を漉き込んだ環境に優しい和紙です。土に埋めると花が咲く!?花の種が漉きこまれた、とてもハッピーになる不思議な紙です。一晩、水につけて、その後、土に埋めると数日で発芽し、紙の部分はゆっくりと分解され、やがて土に還るらしいです。
脱炭素系
J-クレジット制度などを利用し、実質CO2排出量を削減するサステナブルな紙です。
ZERO CO2 PAPER
CO2等排出量削減に貢献できる紙。この紙の費用には「森の持つCO2を減らす力」と「木という循環するエネルギー源」を価値化(=クレジット化)したものが含まれています。つまりZERO CO2 PAPERを買うことは、CO2を減らす価値を買うことにつながります。
ヴァークレイCoC
J-VERクレジット制度を活用した重量相当の二酸化炭素を削減する環境配慮型の高級塗工印刷用紙。
J-VERとは、2011年11月に環境省が設した制度です。国内プロジェクトにより実現された温室効果ガス削減量および吸収量をカーボンオフセットに用いられるクレジットとして認証します。
食べられないお米を活用した紙kome-kamiも、脱炭素に貢献する用紙の一種
紙の製造時にパルプにお米を混ぜ込んでいたり、コメバインド(お米の糊)を活用したりと、CO2排出量削減に貢献しています。お米を紙に混ぜることで、1ロット(5トン)を製造した際に出るCO2を約43.8kg削減しました。また、コメバインドにより、1ロット(5トン)を製造した際に出るCO2を約62.5kg削減しました。
再生紙
新聞や雑誌などの紙を再利用して作られた紙のことをいいます。古紙パルプ配合率はさまざまなパーセントのものがあります。配合率が高くなると白色度は低くなる傾向があります。
プリンス上質エコグリーン
原料に古紙パルプを80%以上配合して製造された非塗工の再生上質紙です。
PFユトリロ上質エコグリーン
原料に古紙を70%以上配合して製造されたコート系の再生上質紙です。
地券紙
原料に古紙を70%以上配合して製造されたコート系の再生上質紙です。
FSC®森林認証紙
持続可能な森林資源で伐採された木材のみを使用して作られた紙のことです。違法な森林破壊を食い止めるため、世界共通の規格にもとづいて審査される森林資源の管理に関する認証に適合した紙です。
紀州上質F
PEFC森林認証紙
FSC認証と同様に森林資源の管理に関する認証に適合した紙であるが、こちらは「持続可能な森林管理のための汎欧州施業ガイドライン」を基準に認証された紙です。
非木材紙
バガスペーパー(GAバガス等)
サトウキビの絞りカスであるバガスを活用した紙。本来廃棄されているバガスを非木材資源として有効活用した環境配慮製品。
グムンドコットン
コットン100%のファインペーパー。コットンの暖かみのあるラフな肌質となっており、気品を感じられます。